●武道と5● 武道の探求 |
■術と道-4 武道の探求 稲葉稔(弓道の先生) 現代の武道は、今日役立つ武術を必要とする。それには、既成の武術の修練から現代に生かせる戦いの技と理法を学び習得して、それを応用し将来へ備えていくわけだが、その為には時と状況の認識も不可欠のもので、現代の科学技術の知識の習得も欠かせないものになってくる。 方法手段(技術)の取捨選択は、いずれにせよ自らの人生の目的を何におくかによって、つまり精神の求め方によって変わってくる。 ましてや精神の実践となれば、総合的なもので、多様な選択修正をすることになり、結果的に一筋の道が出来てくるというものになってくる。 以上のことを踏まえて、現代に武道を探求するならば、次の三項目を挙げることができよう。 ① 自らの高い精神的価値の探求 ―― 現代の武士道の実践 ② 生死を超えた気概の養成と、自己の生き方を全うするための方法手段の選択、習得 ―― 武術の鍛錬、科学技術等の習得 ③ 時代状況の把握 ―― 時事に通じ、国家社会の実践運動への参画 未知の探求、気概の養成と方法手段の習得、時事に通じて社会運動に参画することなどは、闘う人間にはいずれの時代にも共通したものであったと思うが、これらを称して武道の修行実践ということが出来るだろう。 武道は、現実と乖離した精神性のみを論ずるものでもなく、状況をみながらその実現の手だてを追求していくことに本旨があって、単に体育スポーツの一術技というべきものではない。 したがって、武道の修練・修養は、実戦的緊張感を持って精神・技術両面において不断に工夫されねばならないというのが私の基本的な考え方である。 しかしながら武道の現状は、一般的にいって日本民族の高貴なる伝統文化から離れて、大和魂の精華としての武士道精神を忘れ、体育スポーツの一術技に堕している。 |
by kancho39
| 2006-05-21 16:50
| ◆武道と空手
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